企業側に自分をアピールするという視点で見れば、「ガクチカ」も「自己PR」も同じですが、「伝え方」には若干の違いあります。本記事では、「ガクチカ」と「自己PR」の違いや伝え方などを理解していきましょう。
ガクチカ・自己PRの違い
まずは、どの企業でも必ずと言ってよいほど、エントリーシートで問われる項目である「ガクチカ」と「自己PR」の概要について確認しておきましょう。それぞれの概要は下記の通りです。
「ガクチカ」とは
「ガクチカ」とは、『学生時代に力を入れたこと』の略称です。就活のES(エントリーシート)に記入項目が設けられていたり、面接時にも面接官から質問されるなど、自己PRや志望動機などと並ぶほど、就活の定番項目です。「アルバイト」「ゼミ・研究」「サークル活動」「留学経験」「趣味」などのテーマで取り上げられることが多いようです。
「自己PR」とは
「自己PR」とは、応募先の企業に対して、自分自身をアピールすることです。「自分は何をしてきたか(しているか)」、「自分には何ができるのか」、「自分は今後どうしていきたいのか」という3点をしっかり盛り込むことで、採用担当者にしっかりアピールすることができ、その他応募者と差別化を図ることができます。
ガクチカ・自己PRで企業が見るポイント
「ガクチカ」と「自己PR」では企業が評価しているポイントが異なります。それぞれの評価ポイントをしっかりと抑えたうえで、これまでの自分の人生に照らし合わせて、事前準備を進めていきましょう。
「ガクチカ」で企業が見るポイント
「ガクチカ」では、「取り組み内容」や「頑張ったこと」から、応募者の「価値観」や「物事への向き合い方」を中心に評価しています。学んだことが活かせるかどうかは、社会人になってから活躍していくために非常に重要なポイントです。学びを活かせる能力があることがアピールできれば、「活躍してくれそう」「逆境でも頑張ってくれそう」「即戦力になってくれそう」と、採用担当にイメージしてもらうことに繋がります。また、「成果」だけでなく、そこに行きつくまでの「過程」についても説明できると、さらなるアピールに繋がるため、事前に準備しておきましょう。
「自己PR」で企業が見るポイント
「自己PR」では、日々の業務の中で力を発揮し、何らかの価値を提供してくれるのかを中心に評価しています。求める人物像は、企業ごとに異なるため、志望企業の情報収集をしっかりおこなったうえで、求めている人物像に重なる自分のセールスポイントをアピールすることがポイントです。アピールの際は、入社後も「●●の力を発揮して活躍することができる!」のような伝え方をすると、採用担当に入社後のことをイメージしてもらうことに繋がります。この時、「その力を培った背景には●●の経験があり、●●を大事にしている」という価値観についても説明できると、さらに良い印象を与えることができるでしょう。
ガクチカ・自己PRで伝えるべき内容
「企業が見るポイント」の違いについて理解ができたら、次は、具体的に「伝えるべき内容」を見ていきましょう。それぞれの項目で、企業が応募者に話してほしい内容に違いがあるため、どんな内容を話すことが望ましいのかを、項目別に見てみましょう。
「ガクチカ」で伝えるべき内容
「ガクチカ」で伝えるべきことは、困難な状況下や目標に対して、「何を」モチベーションに「どのように」行動して、「どのような」対処法で成果を出すことができたのか、という点にフォーカスしてエピソードを伝えることで、「価値観」や「物事への向き合い方」をしっかりアピールすることができます。
「自己PR」で伝えるべき内容
「自己PR」では「自分の強みが何か」を伝えます。企業が学生へ期待している強みには、チームワークを重視したリーダーシップ、個々の能力が問われる問題解決能力などがあります。
自分の得意分野に近いものを選び、持っているスキルや価値観などをアピールし、入社後にはどのようにその分野を業務に活かしていくかを伝えましょう。
ガクチカ・自己PRの伝え方
「企業が見るポイント」や「伝えるべき内容」の違いを踏まえたうえで、「ガクチカ」と「自己PR」の伝え方を見ていきましょう。それぞれ話す順番に違いがありますが、この順番で話すことで、採用担当者に伝わりやすい構成を組み立てることができます。
「ガクチカ」の伝え方
「ガクチカ」を作成する際は、
- 結論
- 動機
- 目標&課題
- 取組み&成果
- 学び
上記のような構成で論理展開していくことで、採用担当に分かりやすく、論理性を保った伝え方ができるでしょう。また、面接を想定して、頭の中を整理できた内容に仕上げることが可能です。
1. 結論/「取り組んだこと」
まず最初に、学生時代に力を入れたとを簡潔に述べましょう。何について取り組んだのか、採用担当が大枠をイメージできるようにしておくことで、全体を通して何を伝えたいのかがわかりやすくなります。冒頭であまり余計な点を説明をせず、「簡潔に述べる!」ということを意識しましょう。
2. 動機/「何故取り組んだのか」
その次に、何故そのことに取り組んだのか、動機を説明します。ここで動機を説明しておくことで、どのような価値観を持っていて、どのようなことに興味・関心を持つ人物なのか、『人間性』を採用担当にアピールすることができます。
3. 目標&課題/「何を目標とし、どんな課題があったのか」
その次に、何を目標として、どのような課題があったのかを伝えます。この際、「何故その点に課題を感じたのか」や「その課題を解決することでどのように変化すると考えていたか」を説明することで採用担当にリアリティを持って聞いてもらうことができます。
4. 取り組み&成果/「どう取り組み、どのような成果を出したのか」
「課題解決のためにとった行動」と「出した成果」を伝えます。この際に「チームにおいて」や、「自分ではない誰か」に対して働きかけた行動を伝えることで『リーダーシップ性』をアピールすることにも繋がります。その結果、出せた成果を最後に記述しましょう。
5. 学び/「何を学び、どのように活かすのか」
最後に、その一連の流れの中からどのようなことを学んだのかを伝えることで、そのエピソードが自分にとってどのような経験であったのかを採用担当にアピールすることができ、「ガクチカ」としての説得力が増します。
「自己PR」の伝え方
「自己PR」を作成する際は、
- 結論
- 概要
- 課題
- 行動
- 成果
- 貢献
上記のような構成で論理展開していくことで、「成果」だけでなく、その過程の「行動・思考」についても、採用担当に分かりやすく伝えることができるでしょう。
1. 結論/「私の強みは●●です」
結論ファーストで、一番伝えたい「自分の強み」は何か簡潔に伝えましょう。書き出しが良ければ、全体として好評価を得られやすいため、書き出しを工夫することがとても大切です。
2. 概要/「その強みを発揮したのは●●の経験です」
先に述べた結論の説得力を上げるために、「その力を発揮したエピソード」を書き、根拠を示しましょう。あなたの強みを発揮したエピソードの概要を書きましょう。
3. 課題/「そこでは●●という課題がありました」
自己PRを書く際、「頑張ったこと」「努力したこと」「行動したこと」「解決したこと」などのエピソードも一緒に書くことになると思います。その中で、どのような課題・問題・目標があったのかをわかりやすく伝えることで、採用担当にリアリティを持って聞いてもらうことができます。
4. 行動/「課題解決のために●●な行動をとりました」
課題を解決するために、何をどのように考え、どんな行動をとり、どんな工夫をしたのかを、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。
5. 成果/「行動の結果、●●な成果を上げることができました」
自分がとった行動の結果、どのような成果が出たかをわかりやすく書きましょう。この際、成果が分かりやすくなるように「以前は●●件だったものを、●●件まで伸ばすことができました」のように具体的な数字を用いて表現することで、採用担当にも伝わりやすくなります。成果を数字にして表現することが難しいときには、「あなたが●●だから、ここまで頑張ることができた、と声をかけてもらうことができました」と、他者から評価してもらえたことなどを伝えると、印象深いものになります。
6. 貢献/「入社後には●●な強みを活かして貢献していきます」
ただ長所をアピールするだけで終わってしまわずに「この長所は、○○で実務に活かせます」という内容も伝えることで、採用担当にあなたの入社後のことをイメージさせることに繋がります。必ず「自己PR」の内容を、業務にどう活かすのかも伝えましょう。
まとめ
今回は「ガクチカ」と「自己PR」の違いや、伝え方について解説しました。どちらも「自分自身をアピールする」という点では同じものの、伝え方には若干の違いがあるので全く同じ流れで話して(書いて)混同してしまわないように注意が必要です。ですが、同じように伝えたからと言ってマイナスに作用するというわけではないので、自由な形で面接官に伝えられれば良いかと思います。上記は一例として参考にしてもらえたら幸いです。