【解説】RPOとは!?/採用代行と人材紹介の違いやメリット

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近年、「採用活動の難化」や「人事・採用担当の業務の複雑化」などの理由から、採用代行(RPO)の需要が急拡大しています。「求人媒体に求人を掲載していれば人材の確保ができる」という時代は終わってしまいました。ダイレクトリクルーティングなども含め、人事・採用担当者にかかる負担は増大している状況です。本記事では、そんな採用代行(RPO)の気になる「サービス内容」や「費用相場」「メリット・デメリット」「比較ポイント」を中心に説明していきます。

採用代行(RPO)とは

採用代行(RPO)とは

RPOとは、Recruitment Process Outsourcingの略語で、日本語では「採用アウトソーシング」や「採用代行サービス」と呼ばれています。企業から「採用業務」の委託を受け、企業が求める人材を採用できるように支援するサービスです。RPOサービスを提供するRPO事業者と、依頼側の企業で「どの業務をどこまで代行するか」の契約事項を決定し、合意を得た採用業務を代行していきます。

人材紹介会社との違い

「採用代行(RPO)」と混同されやすいサービスとして「人材紹介」があります。採用代行(RPO)は「事業内容」や「社風」など、依頼側の企業を深く理解したうえで、依頼企業に代わり採用活動の一部、または全部を代行するサービスです。一方で人材紹介会社は、自社の登録者の中から、依頼企業が求める人物像にマッチする人材を紹介し、登録者と依頼企業の間に入り面接調整や入社条件の交渉などうを行うサービスです。また、人材紹介サービスの費用は、採用者の年収の30%程度を採用時に支払う「成功報酬」が多いです。

採用代行(RPO)サービス内容

採用代行(RPO)サービス内容

採用代行(RPO)の「細かいサービス内容」や「強み」は、RPO事業者によって対応範囲が異なりますが、概ね下記の5つが主な対応可能な業務となります。自社の状況と照らし合わせて、依頼したい業務の代行が可能かどうかを、RPO事業者に問合せてみましょう。

サービス内容①:採用計画の立案

「採用代行」というネーミングから、応募者対応などの「採用に直接かかわるプロセスのみ」を代行するというイメージを持たれがちですが、採用計画の策定や、すでに行っている既存の採用計画へのアドバイスなど戦略策定についても依頼ができます。ここでは採用活動における「目標」や「予算」「フロー」などについてのヒアリングを行ったうえで採用計画を検討します。

サービス内容②:母集団形成

母集団形成とは、自社の求人に興味を持っている求職者を集めることです。つまり、「採用候補者の集団」を指しています。母集団形成には「応募者」だけでなく、「興味を持っている求職者」も含みます。具体的には、「求人媒体の提案・選定」や「求人票の作成」「記事作成」「説明会の企画・運営」「エージェント対応」「ダイレクトスカウト配信」など様々な業務を代行します。

サービス内容③:応募者対応

母集団形成後の「応募者」や「面接者」とのやり取りを委託することができます。具体的にいうと「書類選考(スクリーニング)」「適正検査案内」「面接の実施」「面接日程調整」「合否連絡」などです。求人媒体などを通じてRPO事業者が応募者とやり取りを行い、企業の採用担当者と相談しつつ、選考を進めていきます。選考辞退理由の上位である、「採用担当者の対応が悪い」や「返信が遅い」などの辞退者を防ぐための業務を代行します。

サービス内容④:社内人事の研修

採用業務以外にも、採用に関わる「人事」へのアドバイスやトレーニングも依頼できます。採用に関する各フェーズの歩留まりから、どの部分を改善すべきなのかをチェックしアドバイス・トレーニングを行います。採用担当者のレベルが上がれば、採用代行(RPO)の依頼をしなくても自社に合った人材を効率よく獲得できるようになるため、長期的な目で見ると経費削減にもなるでしょう。

サービス内容⑤:定着率向上サポート

せっかく採用しても、入社者が短期間で離職してしまっては意味がありません。採用代行(RPO)では入社後に社員のメンタルヘルスケアを行ったり、退職者が出た場合に退職理由を分析したりすることも依頼できます。採用した社員の定着率が向上すれば、会社の年間採用計画のハードルを下げることができるでしょう。

採用代行(RPO)費用相場

採用代行(RPO)料金相場

採用代行(RPO)の費用相場は、RPO事業者各々で開きがあるため、幅を持たせる形で表記をしますが、主に、「費用形態」や「雇用形態」「代行業務範囲」によって、費用は変動します。

費用相場①:費用形態

費用形態特徴費用相場
定額制コスト予測がしやすいため、予算管理がラク一般的な相場は10万円から50万円程度
従量課金制依頼したい業務のみを依頼できるためアウトソースしやすい・広告掲載代行1件あたり1万円~5万円程度
・スカウトメール1通あたり100円~500円程度
成功報酬制採用が成功しない場合は費用が発生しないため、リスクが低い採用1人あたり成功報酬が数十万円程度

定額制

特徴

委託する業務範囲・期間に応じて予め設定された、定額費用を支払うタイプです。業務範囲は「母集団形成~面接設定」といった具合に、委託する業務範囲によって費用が前後します。「3ヶ月間」「6ヶ月間」「12ヶ月間」など、委託契約期間に応じて費用設定されており、契約時の業務範囲を超えた追加依頼がない限りは、固定費用のみ支払えば良いので、予算管理が容易です。

相場

定額制の場合、一般的な相場は10万円から50万円程度となりますが、「サポート内容」や「業務範囲」によっては、これより高額になる可能性もあります。また、「企業規模」や「採用予定人数」「掲載求人媒体数」などによっても費用が変動することがあります。

従量課金制

特徴

代行してほしい「業務内容」や「業務量」を、事前に伝えた上で費用を算出してもらい、支払うタイプです。業務の「難易度」や「ボリューム感」に応じて費用が変動するため、固定費用ではなく、都度見積もりを依頼するケースがほとんどです。「負荷が高い業務だけを委託したい」など、依頼したい部分だけをスポットで依頼しやすい費用体系になります。

相場

従量課金制の場合、業務内容に対して単価が設定されています。例えば、求人広告掲載代行の場合、掲載料とは別に、広告1件あたり1万円~5万円程度が相場となります。また、スカウトメールの配信では、1通あたり200円~500円程度が目安です。以下が一般的な業務別の目安費用相場の一例になります。

サービス内容費用相場
採用計画の立案5~10万円/回
求人票・原稿作成5,000円~/回
求人広告掲載代行15万円/月
スカウト配信200~500円/通
応募者対応2万円~/月
面接・選考1万円~/月
内定者フォロー2万円~/月

成功報酬制

特徴

採用に成功したい場合にのみ報酬を支払うタイプです。採用成功の定義は各社さまざまですが、面接時から内定時点、入社確定後など幅広い状況です。課金型式も「採用人数」や「採用人材の年収○○%」など、さまざまですので、契約時に「どの段階で支払い義務が発生するのか?」をしっかり確認しましょう。また、早期退職者が出た場合の返金額についても併せて確認しておくと良いでしょう。

相場

採用成功型の費用形態の場合は、採用ができた場合に一人あたり60万円~120万円程度の報酬が一般的ですが、「職種」や「業界」「採用難易度」によってはそれ以上の報酬が設定されることもあります。

費用相場②:雇用形態

雇用形態費用相場
新卒採用5万円~70万円程度/月
中途採用10万円~70万円程度/月
パート
アルバイト
1万円~30万円程度/月

新卒採用や中途採用、パート・アルバイト採用など、雇用形態によっても採用代行の費用相場は異なってきます。例えば、新卒採用の場合は、月額5~70万円程度、中途採用の場合は月額10~70万円程度、パート・アルバイトの場合は月額1~30万円程度が一般的な費用相場となっています。しかし、「専門的な知識」や「高度な経験」を持つ人材を求めている企業や業界の場合は、費用相場がさらに高くなる可能性があることを覚えておきましょう。

費用相場③:代行業務範囲

代行業務範囲費用形態費用相場
一部業務のみ・従量課金制各業務ごとに数千円~数万円
「採用計画」~「応募者対応」までの全業務・定額制
・成功報酬制
[定額制]
数十万円から数百万円程度
[成功報酬制]
採用1名あたり数十万円から100万円程度

「定額制」や「従量課金制」は、一定期間に複数職種の採用を行う企業や、採用プロセスを一部だけアウトソースしたい場合に適しています。「定額制」の場合、「企業規模」や「サービス内容」によって異なり、数十万円から数百万円程度が費用相場です。従量課金型では、サービス提供範囲に応じて費用が決定されます。また、「ノンコア業務」のみの代行を依頼するのか、「コア業務」まで含めて代行を依頼するのかよっても費用相場は変動します。「ノンコア業務」のみを委託する場合は3万円~10万円程度、「ノンコア業務」を中心に「コア業務」のサポートを委託する場合は15万円~30万円程度、採用業務全般を委託する場合は30万円以上が費用相場となります。

採用代行(RPO)メリット

採用代行(RPO)メリット

メリット①:コア業務に集中できる

採用代行(RPO)によって「応募者対応」や「求人原稿作成」など、人事・採用担当が行わなくても良い業務(ノンコア業務)を委託することで、採用後のミスマッチ防止や、優秀な人材を見極めるためのコア業務に集中することができます。

メリット②:精度の高い採用活動ができる

採用代行(RPO)の最も大きなメリットとして、「プロ目線」での採用活動ができるという点があげられます。RPO事業者は、採用に関するさまざまな「ノウハウ」や「スキル」を持っています。また、さまざまな企業の「採用成功例」や「失敗例」についても把握しており、こうした膨大なデータと経験の中から、その企業に合った採用活動の提案が可能です。さらに、採用の最新情報やトレンドについても押さえているため、時代背景に沿った流動的な採用活動ができるようになります。

メリット③:コスト削減につながる

通常、採用活動を行う際は、社内に専任者を配置して募集を進めますが、通年募集をし続けている企業ばかりではありません。限定的の募集のために、新たに人事担当者を確保し、育成するとなると時間もコストも高くついてしまいます。採用代行(RPO)は、必要な業務を必要な期間だけ委託することができるため、専任の人事担当者を配置せずとも、採用活動を成功に導くことが可能です。

採用代行(RPO)デメリット

採用代行(RPO)デメリット

デメリット①:RPO事業者との連携

依頼企業のターゲットとなる人材を適格に採用するためには、依頼企業の企業理念などを含めた企業カラーを把握してから採用活動を行う必要があります。そのため、募集背景や社内雰囲気など、企業全体像をRPO事業者に共有する時間の確保が必要です。

デメリット②:採用ノウハウの蓄積が難しい

採用活動の一部、または全部を委託することで様々なメリットがある採用代行(RPO)ですが、自社内の人事担当者が担当する場合であれば、採用活動のノウハウが人事担当者を通して自社に蓄積されていきますが、採用代行(RPO)は委託している分、自社内に採用のノウハウが蓄積しにくいという点もデメリットの一つと言えるでしょう。

デメリット③:委託費用がかかる

当然、採用活動を委託することで「委託費用」が発生します。また、RPO事業者は依頼企業から委託を受けた業務遂行のために多量の時間を割くことになるため、決して安くない費用相場となっています。さらに、RPO事業者によって対応できる業務内容も変わってくるため、委託先の選定に時間を要するということも覚えておきましょう。

採用代行(RPO)比較ポイント

採用代行(RPO)比較ポイント

ポイント①:委託したい業務に対応しているか

RPO事業者によって「対応できる業務」と「対応できない業務」があります。自社が委託したい業務内容に対応できるかどうかを確認するようにしましょう。また、「対応できるだけ」では採用成功率が低くなってしまうため、委託したい業務内容が「得意」なのか「不得意」なのかも併せて確認すると良いでしょう。

ポイント②:予算に合う費用設定か

RPO事業者によって費用設定方法や、費用自体にバラつきがあります。費用が安いからと言ってサービス内容が悪いというわけでもなければ、費用が高いからと言ってサービス内容が手厚いというわけでもありません。採用代行(RPO)をご検討の際には、複数社から相見積もりを取って、サービス内容と費用設定のバランスが取れているRPO事業者に依頼するようにしましょう。

ポイント③:自社との相性

RPO事業者を選ぶ際に最も大事な点がこの「相性」についてです。依頼したい業務に対応していても、予算通りの費用設定だったとしても、採用を成功に導いてくれなければ依頼する意味が半減してしまいます。「成功」の定義は何なのか、自社の採用を最短距離で成功に導こうとしてくれるかどうかも確認すると良いでしょう。

採用代行(RPO)まとめ

今回は、「採用代行(RPO)」について「サービス内容」や「費用相場」「メリット・デメリット」「比較ポイント」をご紹介しました。採用代行(RPO)の需要が急拡大したことで、RPO業者の数も、合わせて急拡大しています。残念なことに、中にはほとんど実務をしてもらえずに、委託料だけを毎月支払っていたという企業様からのお問合せもございます。採用代行(RPO)は自社の採用を成功に導いてもらうために採用業務を委託するサービスです。一緒に「採用成功」を目指してくれるRPO事業者に委託をするようにしましょう。本記事がRPO事業者を選ぶ際の1つの参考になれば幸いです。